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SF的ガジェットや科学技術を知って楽しもう!今井哲也『ぼくらのよあけ』

2011年07月15日
 さて今夏も暑くなってきましたね。毎日のように気温は30度を超え熱帯夜が続いていますが、みなさん元気ですか?私はちょっとバテ気味です。にしてもこう節電節電と騒がれると逆に節電したくなくなってくるアマノジャク的気質が蠢くのですが電気代のことを考えて自制しています。さてそんなことは置いておいて、今回も漫画のレビューと行ってみますか!

・今井哲也『ぼくらのよあけ(1)』

2010年、地球に"SHⅢ・アールヴィル彗星"が接近した。
時は流れ2038年、夏。小学生の沢渡ゆうまは、地球外から来た知的存在と接触する。
そいつは28年前の彗星のときに地球に降りて、故障したまま動けなくなっていた"宇宙船"――――
夏休みの課題は決まった。こいつを宇宙に帰すんだ。

 月刊アフタヌーンにて連載されているこの作品は、小学生の日常風景や夏の暑さ、科学技術の発展した社会を見事に描いているのもさることながら、それに加えて私はこの作品に出てくるSFガジェットや科学技術に凄い魅力があると思うのです!
 なので、今回のレビューは漫画の内容にはあまり触れず、作中に出てくるそれらSFガジェットに科学技術を簡単に説明してより理解を深める助けとする、もしくはこの漫画に興味を持ってもらう事を目的としています。
 というわけで早速始めていきましょう。

1.彗星
 「いきなり地味だな」とお思いになられるかもしれませんが、彗星と隕石の違いを明確に知っている人って意外に少ないと思うので一応説明しておきたいと思います。
 太陽系の海王星軌道より外側にある小惑星(自己重力でほぼ球形になれるほど大きいが惑星には及ばないもの、それよりもさらに小さな天体の総称)が多数存在する領域があり、その領域のことを太陽系外縁天体もしくはエッジワースカイパーベルト天体と呼びます。特に海王星軌道から40AU(1AU=約1億5千万㎞、地球と太陽の間の距離)付近までに集中している小惑星を外縁部小惑星、この領域を外縁部小惑星帯と呼びます。彗星はこの外縁部小惑星帯をぐるぐる回っていた小惑星が惑星の重力に軌道を曲げられて太陽の近くまで到達することで、その構成物質である塵や氷が揮発してガスとなりそれが光って見える現象のことを言います。ちなみに隕石は、火星軌道と木星軌道の間にあるメインベルトと呼ばれる小惑星帯にある小惑星の内、軌道がたまたま地球軌道と交わっていものが、地球と衝突して地表まで達したもののことを言います。構成物質は主に鉄かコンドリュールと呼ばれるケイ酸塩鉱物から成り立っており、彗星とは由来も成分も違うんですね。
(※簡潔に述べているので例外のことや詳しいことは省いてあります。もっと詳しく知りたい方はご自分で調べて下さい)

2.空間投影ディスプレイ
 やっとSFっぽい話題が(笑)空間投影ディスプレイとは読んで字のごとく"空間にディスプレイやウィンドウを投影する"技術のことである、おわり。・・・では余りにもアレなので私が思いついた分かりやすい例をいくつか紹介しますので「あ~、なるほどアレのことね」と思って頂けたら幸いです。
 まず初めに思いついたのがアニメ『電脳コイル』『攻殻機動隊』の世界。前者は"電脳メガネ"と呼ばれる眼鏡型ウェアラブルコンピュータを使って、後者は目をサイボーグ化するかいっそ全身を義体化することによって、視界にウィンドウや支援AIを表示させますが、これはAR(Augmented Reality)技術なので今作『ぼくらのよあけ』に出てくる空間投影ディスプレイとはまた違ったものです。AR技術は現実世界でもiPhoneのアプリ"セカイカメラ"で実現されていますね。
 次に思いついたのが、スティーブン・スピルバーグがメガホンを取ったフィリップ・K・ディック原作映画『マイノリティー・リポート』に出てくるガジェット。透明のディスプレイに専用のメモリーカードを差し込み、映像を直観的に操作できるユーザーインターフェースをもったディスプレイが出てきましたよね。専用のグローブを使ってクイックイッと映像を巻き戻したり拡大する映像が未来的でカッコよかった。この映画の話は置いておいてこの"ウィンドウを投影するための透明のディスプレイを使う"というのも『ぼくらのよあけ』で使われる空間投影ディスプレイとは違っています。では、どれが合致するのか?それはおそらくですが(作中でも詳しい技術は紹介されていない)、同映画でトム・クルーズ演じるジョン・アンダートンが自室で行方不明になってしまった自分の子供の過去の映像を見る時使われた技術と同じではないかと推測しています。つまり室内にいくつかのプロジェクターを設置することでディスプレイが無くても空間に映像を3次元的に投影することができるという技術。しかしこの技術はパッと思いついただけでも、空気のゆらぎやプロジェクターの射線にものを置けないなどのデメリットがあり現実的ではない様に思えます。
 他にも光っている棒を高速で動かすことによって残像を残すというやり方などが考えられますが、ここまで長く語ってきた割に『ぼくらのよあけ』の中で使われている空間投影ディスプレイがどのような原理なのかは描写を省いているので謎です。漫画は視覚のエンターテインメントなので、わざわざどのような原理かを描くとウザったくなったり絵が狭くなっちゃうから省いてるだけだと思いますけどね。

3.オートボット
 ようやく作中独自のSFガジェットの話となります。作中のオートボットに関する解説を一部引用すると、

最新鋭の人工知能を搭載した家庭用アンドロイド。
人間との会話を積み重ねることで行動パターンを学習し、持ち主一人一人の生活スタイルに合わせた様々なサービスを提供します。
あらゆる機械の操作を人間に替わって行い、家事経営をスマートに管理するオートボットは次世代の情報家電として人々の生活そのものを変えたと言われました。

とある。ちなみにアンドロイドというのは機械ベースの人型ロボット、サイボーグは人間が体の一部あるいは全体を機械化したもの、バイオロイドはバイオテクノロジーで作られた人間のことを指します。アンドロイドは外見が雄型のときに使い、雌型はガイノイドなんて呼んだりもします。
ちなみにこの漫画の主人公が使っているオートボット・ナナコの外見はこんな感じ↓
ぼくらのよあけ、ナナコ01
作中の表現から、電動であること、人間でいう所の表情筋のようなものを動かして表情を作っていること、胴体部についている2本の黒い筋は内腕で空間投影されたディスプレイを操作する際に使用し本体下部に浮遊しているのは力仕事をする際の外腕でだいたい10kgくらいの力が加わると本体から外れるらしいこと、処理能力の限界に達すると自動的に再起動がかかり地面に受け身無しで落下することなどが分かる。また後ろはこうなっている↓
ぼくらのよあけ、ナナコ03
いかにも中にコイルが入っていそうな角が上に2本、コネクタっぽいのが真ん中に1つ、浮遊して動く際に使用するのであろう角が下に2本生えている。
 このオートボット、作中には他のタイプも出ているのだが、共通しているのは浮遊しているという事。外腕と本体は電磁力でつながっているとして、本体は何故浮かんでいるのか?何かを噴射しているわけでも無いし、未来の世界は地面の至る所に電磁石でも敷設してるのですかね?謎です。まぁ、ナナコちゃんが凄くけなげ(プログラムに従っているだけなんですが)で確実にゴーストを感じさせて可愛いからなんでもいいんですけどね!あれだ、不思議力。不思議力で浮かんでるんですよ。ワンピースだって島が浮いてたでしょう。それと同じです。


 と、ここまでSFガジェットと科学知識を合わせて3つ紹介したわけですが、作中には他にも、水分子全体をコンピュータとして使う技術(これは私の知識では手に負えないのであえて飛ばしました)があったり、教科書がフレキシブルな素材を用いた電子教科書になっていたり、携帯がもはや電話としてよりも現在のスマートフォン以上のものになっていたりと、久しぶりにストレートなSF漫画が来たなと大変楽しく読むことができました。
 しかし、今回のエントリで説明したことなんて知らなくても充分に楽しめる、というか本質は主人公たち小学生の活躍、子供だからブチ当たる壁、子供だから乗り越えられる壁がストーリーの中心になっていますので「SFはちょっと・・・」と思ったあなたでも大丈夫です。二転三転しますが信用して下さい!



というわけで、今回のレビューはここまで。何か間違っている所やここはこうじゃない?という所があったら教えてください。それではまた次の記事で...!
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甘酸っぱい恋から、不倫関係まで。『楽園 Le Paradis vol.6』を読もう!

2011年07月09日
  以前の拙ブログのエントリ、”『楽園 Le Paradis 第5号』を読んで、色んな形の恋愛に身悶えしよう!”には検索からもニュースサイトからも多数の方がおいで下さったので、ここであらためて御礼を。ありがとうございます。というわけで、2匹目のどじょうを狙って、もとい、今回も、胸に迫るもの、読んでいて胸がキュンキュン☆するもの、なんで女って奴はよぉ…となるものまで幅広い恋愛をテーマに扱った漫画雑誌、『楽園 Le Paradis』の第6号を紹介したいと思います。

『楽園 Le Paradis 第6号』
 今号は、総勢24人の漫画家+イラストレイターさんの作品からなっており、漫画だけ数えると26作品が掲載されています。
 表紙は、シギサワカヤさんによる”眼鏡+赤毛むちむちボディのお姉さんの水着姿”が表紙です。なんで水に濡れてる女性ってそこはかとなくエロスを発散させてるんでしょうね!そして表紙をめくって現れる扉絵は竹宮ジンさんによる百合イラスト。年上女性のロングの髪の毛に年下の女性がキスをしているというイラストは、なんだか主従関係のような意味深さを感じさせます。そしてずっと飛んで裏表紙の見返しイラストは、常連のニリツさんによるもの。少し垂れ目の女性が髪をたなびかせながら振り返っている構図なのですが、彼女の群青の髪の毛と空の青が夏の到来を予知させてくれます。

 さてそれでは、個別に幾つか作品を拾って紹介していきましょう。

・水谷フーカ『14歳の恋』
 先日発売されたコミックス『14歳の恋(1)』は各所で紹介されて、購入した各人をニヤニヤ赤面させまくる、もしかしたら人によっては「俺の中学時代はなんだったんだ…」と涙にくれた人もいたかもしれませんが、とにもかくにもこの漫画は本当に面白いです。
 今号では2話続けて連載されています。1話目は、学校では秘密にしようと決心し合った彼方と和樹の2人の間の約束事ともっと2人で触れ合いたい・もっと2人で同じ時間を過ごしたいという思いがぶつかりあってちょっとした不和をもたらすというのが大筋のストーリー。続く2話目は突然の雨が降り、相合傘がしたいなぁと意思疎通なく同時に考える2人。そこで自分の傘を誰か他所の人に貸すことにするのだが、2人ともが貸してしまい、結局2人で濡れ坊主になって和樹の下校ルートにある商店の階段で雨宿りをするというストーリー。まぁ、前者は2人は互いの認識を新たにし絆がより深まるというオチ、後者は雨に濡れてぐっと色っぽく格好良くなった互いにドギマギするというオチなのですが、そこに至るまでの経緯が素晴らしい。
 14歳。小学生は子供に見えるけど、高校生はなぜかぐっと大人に見えたあの頃。つまりある種の居心地の悪さというか、第2次性徴を迎え、男の子は体つきががっしりとなり声は低くなり、女の子は体つきがふっくらとし胸も大きくなってきて、今までとは明らかに外見の変化として表れる違いに戸惑わずにはいられない、そんなお年頃です。
 この漫画の素晴らしいところはその感情の機微が上手に漫画的に表現されている所だと私は思っています。誰もいない空間でセリフや擬音も使わずに2人だけが存在する世界を静的に表現する。彼方が意識せず見せつけてくる色っぽさに和樹が我慢できなくなって取る行動、またその逆。特に無音のコマで表情で読者にその時のキャラクターの感情を推測させる力がこの作品にはあります。
 まぁでも、そんな堅苦しい考察は抜きにして、かぁっと赤面する2人と初めての恋の初々しさを存分に楽しめばいいと思います!
14歳の恋、楽園第6号14歳の恋、楽園第6号
なぜならこんな2人を見てニヤつかずにいる方が無理な話だからです(笑)はぁ~、彼方、超可愛いし綺麗だなぁ!

・かずまこを『マイディア』
 かずまこをさんといえば、拙ブログの過去記事”不器用な高校生の恋愛模様に身悶えしよう!かずまこを『ディアティア』”でも紹介したように『ディアティア』は傑作の内に終わりましたが、『マイディア』はその後日談、つまり成田と桐ケ谷が付き合い始めてからを描く新連載です。正直、『ディアティア』で終わるにはもったいないなと心の底では思っていたので嬉しい限りです。また桐ケ谷のちょっと的を外れた可愛い行動が見られますよ、皆さん!
 というわけで、新連載ということが理由なのかどうなのかこちらも第1話・第2話の連続掲載。前者は、桐ケ谷視点でモテる成田に自分ばっかり嫉妬してるような気がする桐ケ谷のいじらしい姿が存分に楽しむことができる、後者は成田視点で今までたくさんの女性に告白されてきたが、自分から好きになった初めての女の子桐ケ谷のことをもっと知りたいと思う成田が、オチで桐ケ谷の天然からでる行動に萌え尽くされるというストーリー。
 この漫画で一番可愛いのはもちろん桐ケ谷なのだが、一番なにかと抱えているのは成田でしょう。家族の事、そんな家族の嫌な性質を受け継いでる自分に失望してみたりと外見は好印象の全く好青年なのだけれども、漫画の中で一番心配させられるキャラクターは間違いなく成田です。影のある男性に女性は魅かれると言いますが、まさにそれを具現化したジゴロ!しかも男の私まで心配になって気になってしまうような心持にさせるとは怖ろしい子ッ…!
 これからどんな楽しかったり辛かったりする出来事が2人を待っているのかと思うと、今後の展開が凄く気になる作品です!
 それでは最後に私的今回のベストショットはこちら!(ドン!)
マイディア、楽園6
先輩モテすぎて凄い嫉妬します、それに好きにさせるって言ったのに全然好きになりませんと意地を張る桐ケ谷に成田が突然言い放った「キスしてもいい?」の言葉に思わず制服のカラーまで跳ね上がるほどビックリした桐ケ谷です!超絶可愛い!

・宇仁田ゆみ『ゼッタイドンカン』
 『うさぎドロップ』の最終巻も発売され、今クールから始まったアニメの評判も上々の宇仁田ゆみさんの新連載。前号までは大学生みっくんと、その幼馴染でちょっとどんくさいけどみっくんに関わることなら何でも覚えてます!みっくん大好き!というノコの恋愛模様を描いた『ノミノ』を連載されていた宇仁田さんのこの最新作は打って変わって、しっかりもののピアノ調律師をしている瀧歌音28歳と、瀧さんが10年前からずっと好きで4年前からやっと付き合い始めた職業不詳(作曲関係?)でズボラでニブチンの中森くんの大人のカップルが主役です。
 28歳になり職場でも後輩ができた瀧さんは中森くんと結婚したい、せめて結婚を意識したお付き合いがしたいと思っているのだけれど、中森くんはそんなことはどこ吹く風。気ままな今の関係に満足しているようです。そんな中森君に振り回される恋する乙女の瀧さんがめちゃくちゃ可愛い!互いに名字にさん付けで呼びあっている所もGood!どちらかといえば、1人でも難なく生きて行けそうな中森くんにもうちょっと甘えて欲しいなぁと思いながらも同い年なのに少しお姉さんぶる滝さんも素晴らしい!身長差カップルである所も個人的には凄く好きです(笑)『ノミノ』とはまた違う宇仁田ゆみさんのケチのつけどころのない新連載は要チェックです。
ゼッタイドンカン、楽園6
↑の画像は結婚の話題になり、私たちもそろそろ結婚のこと考えてもいいんじゃない?ということを目力で訴える瀧さんです。

 さて上記で紹介した3作のほかにも、いま私の中で一番アツい百合漫画である西UKOさんの『コレクターズ』、コミックス『鉄道少女漫画』の”サバランの木曜日”にでてきた例の女子中学生があの妻子持ちのおじさんに恋しちゃったりその子に恋する男子中学生を描いた『木曜日の一通』、縄氏のもとを訪れ自らの意思で荒縄で縛ってもらい恍惚の表情を浮かべる巨乳女子学生をエロティックに描いた黒咲練導さんの『ユエラオ』、このエントリの題名にある不倫関係を描いたシギサワカヤさんの『カテゴライズ』(本当はレビューしようと思っってたけれど、いーっ!となって無理でした)などなど、とにかく面白い漫画がテンコ盛り。読みとばす漫画が全くないという稀有な存在の漫画雑誌なので、みなさん買って読みましょう!まだ読んだこと無いよという人は、今号からは新連載が多くまた発売された単行本の続きから読めるのでこれを機会に読んでみるのはどうでしょう?次号からは林家志弦さんが復活するそうです。




それではまた次のエントリで。ご意見ご感想などは、コメント欄・ツイッターのリプライ等、いつでもお待ちしております。
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不器用な高校生の恋愛模様に身悶えしよう!かずまこを『ディアティア』

2011年06月02日
 世間では、やれ政権交代だと声高々に宣言した政治家が裏切ったり、言った言ってないの小学生レベルの論争が繰り広げられていたりと、本来国民から頼りにされるべき存在である政治家がグダグダ過ぎて、なんだかニュースを見てるだけで疲れてきます...。未曽有の危機を迎えていても悪しき日本の慣習は無くなりませんでしたなぁ。
 と、なんだか呆れたり悲しくなる話題はこれくらいにしておいて、今日もレビューと行きましょう!今回は、日本全国3000万人の拙ブログファン待望の漫画レビューですよ!検索エンジンから訪れてきた人も、そのほとんどが漫画記事目当てなことからもこのブログの存在意義が漫画にあることは丸分かりですが、これからも小説のレビューは辞めませんよ!今後は、アニメや映画の記事なども作って、もっとアバンギャルドな内容のブログにしていきたい所存でございます。石を投げないで下さいッ!


・かずまこを『ディアティア』(白泉社)

 「かずまこをさんって誰?」という人は著者の公式HPがあるのでそちらを覗いてもらうとして、ここでは軽く触っておきたいと思う。
 私が最初にかずまこをさんの事を知ったのはおそらく『百合姫』だっただろう。シャープな絵柄と黒ベタの使い方が上手く非常によくまとまった内容の作品を描かれているので、好きな漫画家さんの一人である。『百合姫』の出版社である一迅社からは女生徒と女教諭の恋愛を描いた『純水アドレッセンス』と、自由奔放に振舞う後輩と彼女に振り回される先輩との関係を描いた『さよならフォークロア』が刊行されている。どちらの漫画も百合漫画ファンの端くれとして言わせてもらうと、・・・傑作である。特に『純水アドレッセンス』には、あやうく死因が”悶え死に”となり家系に汚点を残す所だったほど興奮した(笑)デビュー自体が最近なので今回紹介する『ディアティア』は、まだ3冊目の著作である。

 それではこれからレビューに入っていきたい。

愛しく
切なく
初々しい
ふたりの 初恋物語。

 白泉社から季節ごとに刊行される漫画雑誌『楽園』の第1号から5号までに連載されていたものに加えて、Webでの増刊+書き下ろし(6ページ)を加えた構成である。連載されている時から、名だたる作家(宇仁田ゆみ/二宮ひかる etc.)によるハイレベルな漫画の中でも光っていると思っていた。拙ブログでも過去に触れているので興味のある人はこちらをどうぞ。

それでは主要キャラクターを紹介しよう。

DearTear_02
成田秋人(ナリタアキト)。今作の主人公で高校2年生。幼い時に父を亡くしシングルマザーの家庭で育つ。男に依存しがちで、ちょっとしたことでも涙を流す情緒不安定な母親に幼い時から接してきたせいか、女性に泣かれるのが苦手である。誰にでも何の気遅れも無く優しく出来る生来の気質のおかげでよく女性にモテる。悪く言えば”天然のジゴロ”である。

DearTear_01
桐ケ谷睦子(キリガヤチカコ)。今作のヒロインで弓道部に所属する高校1年生。性格は正直者で友達思い。分からないことがあればそれを解決するまで突き進む猪突猛進タイプ。ストレートな物言いと弱音を人に吐かない態度から強い女の子だと周りに思われがちだが、年相応の弱さも持っている。男女関係については疎い。

DearTear_Mika01.jpg
美佳(ミカ)。このキャラだけ名字が見つからなかった。高校3年生。桐ケ谷曰く「美人で頭も良くて優しくて悪い所が無い」と評される弓道部の先輩。実際、漫画内の表現からも人望は厚いようである。ちなみに普段は綺麗なロングストレートを真っすぐ下ろしているが、部活の際は邪魔になるのかポニーテールにしている。

DearTear_Suzu01.jpg
葉月鈴音(ハヅキスズネ)。桐ケ谷のクラスメート。決して容姿が悪いわけではないのに自分に自信が無いため、いつも自らを卑下しがち。1学期の初日に成田に助けてもらい、初めて友達になったのが桐ケ谷であるので、2人のことを特別視している。周囲に埋没している自分のようなものと仲良くしてくれていると無意識に考えているので、そんな2人の事を本当に大切に思っている。

 最初に書いておくと、この漫画のメインテーマは””である。その””に注目して読んでいけばより深くこの作品を理解できるはずである。
 
 第1話は成田と桐ケ谷の物語である。場面は美佳が成田に告白する所から始まる。しかし女の子と付き合う意思の無い成田は断る。次の日、成田の元に桐ケ谷が訪れ、何故自分が敬愛する美佳先輩では駄目だったのかと詰め寄る。美佳本人にならともかく見知らぬ後輩にこたえる義理は無いので、そのことを説明し逃れようとするも桐ケ谷は成田のどこにそんな魅力があるのか分からないので成田の事を知りたいと願い出る。このあたりは直情的で分からないことが嫌いな桐ケ谷の性格がよく出ており、読者にそのことを強く印象付ける。成田と一緒に下校することになった桐ケ谷は、ぽつぽつとぎこちなく言葉を交わしながら成田の家までたどり着く。すると中から泣きながら成田の母親が出てきて成田に駆け寄るや否や、現在交際している男性がどれほど自分に辛く当たるかを桐ケ谷がいるにもかかわらず喚きたてるので、その日は気まずく別れることとなった。常識で分かると思うが、高校生であっても社会人であっても自らの家の恥部とも言える部分を見られるのは恥ずかしく、見てしまった方は気まずいものである。そういった理由から、もう来ないだろうなと思っていた成田だったが、意外にも桐ケ谷はやってきたので、また一緒に下校することになった。見られたものは仕方ないと家庭の事情を説明し、「恋愛は苦手。だから今は誰とも付き合う事は考えられない。気持ちは嬉しいし泣かせたくは無いんだけど」と語る成田の言葉に桐ケ谷は気付く。それは成田が女の子の涙が嫌いなのだという事に。そしてそのことを告げると成田は思い出す。観戦しに行った弓道部の負け試合で1人だけ真っ直ぐな瞳をして涙を見せなかった女の子の事を。そして桐ケ谷も思い出す。試合に負けた後、水道で顔を洗っている時に「いい試合だったね」と声をかけてくれた先輩のことを。2人は前から、無理矢理意識の外に押しやっていたものの、互いのことが気になっていたのだ。その気持ちに今になって気付き、「ただ先輩のことが気になって・・・」と涙を流した顔を見せないように去っていこうとする桐ケ谷の腕をつかみ無理矢理振り返らさせ、泣いてる姿を見つめる成田。

いつも真っ直ぐ目を見れずに
どれだけ とりこぼしてきただろう
桐ケ谷は目を逸らさないから まつげに跳ねる雫がよく見える
ああ 俺の指はちゃんと 女の子の涙を拭えるんだ

 桐ケ谷の意思の強い瞳から零れる涙。青春の凝縮物と言っても過言ではないほど純粋な涙を流す少女と、自らが手を伸ばせば綺麗なものに手が届くことに気付いた複雑な境遇に育った少年の美しさが、巧みな構図で胸に迫るように描かれている。

 第2話は美佳先輩の物語である。成田はどんな顔をして桐ケ谷に会えばいいか悩んでいたが、いざ会ってみると普通に接することが出来て安心する。しかし桐ケ谷は違った。直情的で義理固い彼女は美佳に対して負い目を感じていたのだった。そのため、彼女は嫌いという訳ではないけどもう成田とは一緒に帰れないと苦渋の決断をする。どんな理由があったにせよ、泣かせてしまったという事は事実なので悶々と反省する成田は下校の時、偶然美佳に声をかけられて駅まで彼女を送っていくこととなる。一見、なにもなかったように振舞う美佳であったが、訥々と自分が成田をどのくらい好きだったか語り出す。駅について、別れの間際、彼女は成田に謝意を伝える。その時、成田は初めて美佳の勇気を察し、「こちらこそ好きでいてくれてありがとうございました」とその時の本当の気持ちを伝える。すると美佳の瞳から流れる涙その涙の意味を明確に一言で表すことはできないだろう。今まで成田のことを好きだった想い出が一気に去来したための涙、ああ彼を好きになって良かったという自分の心に区切りをつけるための涙、彼の心に私が残ればいいのにという身勝手な願いから流す涙、そういったものが混じり合い自然に湧き出た涙だったのだろう。この場面は読んでいて、鼻の奥がツーンとした。美佳と成田が恋人同士になることはもうない。ふたりの人生という道は別れてしまったのかと思うと胸を熱くせずにはいられなかった。

 第3話は葉月鈴音の物語である。前述したように鈴音は入学式の初日に桐ケ谷と成田に出会い、成田のことは憧れのカッコいい先輩、桐ケ谷は親友になりたい人という感情を持った。成田とは学校生活のいろいろな場面で出会いその度優しく接してくれる。桐ケ谷はささいな変化でも鈴音のことなら気づいてくれる。自らに自信が無く、個性もないと感じている鈴音にとって周囲から自分を見つけ出してくれる2人をますます好きになっていくのは当然の成り行きだろう。その延長線上で鈴音は成田に恋に落ちるのであった。しかし偶然、成田が他の女の子に告白されている場面に遭遇してしまう。そして、鈴音基準で自分より可愛い女の子が振られてしまうのを見た彼女はすっかり気後れし、成田への恋心をひっそりと自分の中で諦めようとするが、やはり諦められない。そんな折、成田と桐ケ谷が仲良く喋ったり一緒に下校したりしているのを知ってしまう。心に芽生える嫉妬の感情。しかしそれを押さえつけ自然に振舞おうとしていたそんなある日、桐ケ谷と成田についての話をしていると成田本人がひょっこりとその場に現れる。このことに泡を食った2人は完全に舞い上がってしまい、桐ケ谷は鈴音が成田のことが好きである事を秘密だったのにバラしてしまう。モジモジと3人で顔を赤面させつつ出した結論が、鈴音と成田が2人で一緒に帰ることだった。成田と一緒に帰れることになって嬉しいはずなのになぜか頭の中に思い起こされるのはいつも鈴音に優しくしてくれた桐ケ谷の事ばかり。嬉しいけど淋しい、そんな気持ちに突き動かされ鈴音は、自らの感情を発露させる。

言わなくちゃ 何で言えないんだろう 何で言わないんだろう
二人はいつだって 私の話を 聞いてくれようとしてて
だから
だから私は
(中略)
桐ちゃん 私 
伝えられてよかった 先輩も 桐ちゃんも 好きになってよかったよ

 なんて不器用でそれでいて、なんて真っ直ぐな言葉だろうか!いま現在これを引用している最中にも涙ぐむほど、この場面が好きである。涙を流しながら、告白する鈴音。でもそれは恋では無く憧れの延長だった。でもそれでよかった。だって好きだから。自らを卑下しいつも周りに埋没していた彼女が発した、彼女だけの言葉には感動せずにいられない。

 第4話は桐ケ谷と鈴音の物語である。第3話の最後で鈴音を追った成田を見てこれが最良の結果だと自らを戒め、鈴音のことを思い成田を避ける桐ケ谷。成田は成田で、いつも困らせてばかりいるし、早く桐ケ谷のことを諦めなければと刹那的な高校生にありがちの誤解をしていた。一方その頃、鈴音は桐ケ谷の家に訪れていた。恋愛に疎い桐ケ谷は成田のことを思うと胸が痛くなったり、どうしても考えずにはいられないことを恋だとは認識していなかった。いやわざとそう考えるのを避けていたに違いない。元気のない桐ケ谷に鈴音は自分がどういう風に振られて、でも今は桐ケ谷は友達として、成田は優しい先輩として好きということを親友の彼女に伝える。とにかく避けるのではなく、よく話し合うべきだと説得し、翌日以降に備えるという結論に至った。しかし成田は休んでいたり、教室にいなかったりと、こういう時に限ってなかなか会う事が出来ない。頭がショート寸前の桐ケ谷は、気分転換のため文化祭の手伝いに参加する。看板作りを仰せつかった彼女は絵の具片手に指定された作業場所へと向かう。するとそこには、成田が先に作業を始めていた。2人っきりの教室。桐ケ谷は詰め寄る。どうしてさっき挨拶した時に私から目をそむけたんですか?嫌いになったからですか?と。当然、成田にしてみれば勘違いもいい所で、嫌いになんてなるはずもない。ぎこちない沈黙を破る様に理由をつけて出ていこうとする桐ケ谷の腕をつかみ、最初に彼女の涙をぬぐった時には言えなかった言葉を口にする。

「俺・・・ 桐ケ谷のことが好きなんだ」



 最終話はみんなの物語である。唐突に告白された桐ケ谷は、「困ります・・・」とだけ言い、明確な返事をしないまま、「水を汲んできます」と言って部屋から出ていってしまう。成田に思い出されるのは、今まで自分に告白してきた女の子が流した涙のこと。しばらくしても戻ってこないので不思議に思った成田が扉を開けると、水入れだけが扉の外に置かれていた。つまり、そういうことかと落ち込む成田...。場面は転換し、足早に下校しようとする桐ケ谷に移る。成田に告白されたばかりなのに美佳に出会ってしまった桐ケ谷は、聞かれてもいないのにどれだけ桐ケ谷睦子が美佳先輩を尊敬しているかを語り出す。「私にそんな風に言わなくちゃいけないことがあったの?」とお見通しの美佳。そのこともあって、なおさらどうすればいいか分からなくなり下校していると、今度は鈴音と出会う。「どうだった?先輩にこのあいだ勝手に帰ったことを謝れた?」と聞く鈴音に今さっきまでのことを打ち明け、返事もせずに帰ってきたことを告げた。それを聞いた鈴音は烈火の如く怒る。

「桐ちゃん ちゃんと返事したの?」
「・・・・・・こ・・・・・・ ・・・・・・困りますって・・・・・・」
「え・・・!?それで?」
「置いてきちゃった・・・・・・」
「・・・・・・・・・ ひどい・・・・・・ 成田先輩なら絶対そんなこと言わないよ
    (中略)
 私が好きだった人のことなんだからもっと真面目に考えて!」

 親友だから許せなかった。親友だからきっと桐ケ谷のホントの気持ちも分かってたのだろう。これこそが友情である。自分のために怒ってくれる人こそ、若いうちに手に入れるものの中で一番大切だ。それを手にしている桐ケ谷がすべき行動はひとつであるはずだが...。翌朝、学校の敷地内で出会った成田に挨拶だけして逃げるように駆けていく桐ケ谷。「そうだよ、きっと先輩は大丈夫。きっと私よりずっと良い女の人を見つけるんだ」、自らが傷つきたくないがために様々な理由をつけ続ける。でも一目だけとバッと振り返ると、さっきは笑って挨拶してくれた成田が泣きそうな顔をしていた。そして気付く。平気なわけがなかったんだと。先輩が今まで断ってきたのはその人の気持ちを考えないでの行動では無かったんだと。成田秋人は優しい人なんだと。流れる涙。この涙は先輩のことを理解できたという嬉し涙であろう。
そして2人は晴れて・・・
DearTear.jpg


 かなり長くなってしまいましたが、それだけこの漫画『ディアティア』=”Dear Tear”がもう赤面しちゃうほど可愛らしい恋愛をしてる最高の青春恋愛漫画だということが少しでも伝われば幸いです。あ、最後になりますが書き下ろしページがもう思わず心臓がキュン死しそうなほど、こっ恥ずかしいものが載っていますので是非買って確認してください(笑)


 というわけで、いかがでしたでしょうか?それでは次の記事で...!
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『ミラーボール・フラッシング・マジック』を読んで女心の機微を知ろう!

2011年04月17日
 ブログを更新して他の人にお薦めしたいほど好きな作品にはよく出会うんですがなかなかネタが思いつかない。そんなすっかり春めいてジャケット一枚羽織るだけで外出できるようになった折り、やっぱりこの漫画家の作品はレビューしなくてはこのブログの存在意義が問われるので更新しますよ!


・ヤマシタトモコ『ミラーボール・フラッシング・マジック』
 やはりヤマシタトモコさんの作品は当ブログとしては外せない。なぜならヤマシタさんの描く漫画が大好きだからだ!シリアスからギャグ、大人の恋愛から青春活劇まで。とても幅広く活躍されており、間違い無く、いま目が離せない漫画家の一人である。

 今作は7つの短編からなる短編集なのだが、どの作品も好きだ!でも全部紹介するには気力が足りない!という訳で、その中からいくつかピックアップして紹介していきたいと思う。(※ネタバレ全開なので、その辺の配慮は各自よろしくお願いします)

・「うつくしい森」
 男子高校に新しく赴任してくる美術教師が女性だということに生徒は色めき立つも、実際に赴任してきた教師は女っ気の少ないでかいしいかつい女性・柳だった。大半の生徒がガックリ来るなか、主人公の森口は完全に心を奪われて日々フェティッシュな妄想を彼女でするのであった・・・。
 男子校出身の方なら分かると思うが、男子校には本当に女性教師がいない。養護教諭や家庭科の先生に50がらみのオバさんがいるだけである。そんな中若い女性が赴任してくると知ったなら、とりあえず赴任してくるまでは間違いなく祭りである。休み時間に話されるのは、どのアイドルに似ているかという願望丸出しの話と、おっぱいが大きいかどうか、いけない関係になれるかどうかの3つであると断言できる。あの頃の俺たちのエロに対するリビドーは銀河美少年を大きく引き離すほどだった・・・。
 昔話はさておき、森口は美術に興味があったせいか、周囲が完全に「あいつは無い」という結論に達しつつある中、柳に完全に魅了される。友人が「柳がいつも長袖を着ているのは腋毛を処理していないからだ」というエロガキ特有の揶揄を耳に挟めば、その夜、風呂に入りながら妄想の中の柳に自分の願望を話させ、自らの産毛を触って赤面したりする。また「ヌードデッサンしてくれないですかー?」といきがる生徒へ「やる気無いのは分かってるから、せめて黙ってろ」と返す柳に対して、トゲのある一面を知った日には、腋、舌、おっぱいにトゲが生えている彼女を妄想するのであった・・・。
 この短編には本当にゾクゾクさせてもらった!自分もフェティッシュな性癖があるのでもう直球ドストレートで興奮した!男っぽいガサツな服装に言葉使い、キツイ眼差しに太い眉、大きな体。舌や胸、腋にトゲが生えてる妄想のシーンなんて皮膚が泡立つような興奮を覚えた。また男子高校生のはちきれんばかりの蒼い気持ちが描かれている点も素晴らしかった。この感じを共有させるのは僕の文章力では難しいので、とりあえず一枚ペタリ。雰囲気を少しでも感じて頂けたら幸いです。ヤマシタトモコ_01


・「ミラーボール・フラッシング・マジック」
 表題作でもあるこの作品は少々変わった趣向がこらされている。それは、同じ時間、同じ場所で起こった4つの異なるカップルの話をある出来事を共通点にして描いてあるということだ。なのでここでも、その一つ一つを追っていきたい。

[Part1]冒頭から口論するカップル。女の方は「男が会ってくれないから他の男に抱かれた、悪いのは私じゃなくてあなた。前もあったけどそれはいいじゃない!」と頭の悪いビッチ丸出しの発言で彼氏を責める。そんな彼女を冷ややかに見つめ、「今日こそ終わりにしよう」と疲れた顔の男。よくある別れの場面・・・、しかし!そこに突如として何故か"ミラーボール”が飛んでくる!顔面にヒットして鼻血を出す女。ヒットした直後の男の考えを引用する。

 ・・・ミラーボールだ!!なんで!?ビッチにはお似合いだ・・・ パーティーだ・・・
 いやこれは・・・ す・・・すごいぞ!
 滑稽を通り越して美しいじゃないか・・・・・・!
 ・・・・・・ん?なんだろうこの手の動きは・・・・・・
 ・・・すがるとも違う・・・


そう、ミラーボールは男の背後から飛んできたので女からはよく見えていた。当たる寸前、女は男の方に手を差し出してこう呟いていたのだ! 

マーくんあぶない・・・・・・(ポソ


こんなこと言われちゃうと、また可愛くなっちゃうよねー(笑)こうして2人はめでたく元の鞘に収まりましたとさ・・・。

[Part2]自分が4つの掌編の中で最も好きだったもの。マンションの一室で椅子に座り脚を組む女性とその前で跪く男子中学生。もうこの説明だけで、変態エロチシズムを感じずにはいられないと思うが、高飛車に振舞う女に翻弄させられる男子中学生。男子中学生は何度か女性の部屋に訪れては、彼女に告白をしていく。大人の女の余裕でいつも「UFOが墜落するくらいあなたと付き合うことはあり得ないわ」とあしらっていたがこの日はなんとそれが起こった。窓の外を輝くものが通り過ぎていったのだ!もちろんこれは”ミラーボール”だったのだが、カーテンを引いた室内にいた2人にはもちろんそれは分からなかった。突然の事に驚く2人。思わず相手のはだしの足のくるぶしちょっと上あたりをつかんでしまう男子中学生!その行動に仮面が外れ赤面する昭和56年生まれの女!かぁー!たまらん!男が年下の年の差カップルってイイよね!

[Part3]このパートのカップルは結婚して倦怠期が訪れ始めた夫婦。夫は仕事仕事で家庭を顧みず、嫁に手を触れさえしない、会話にもあの頃の輝かしさは無い。でも夫の事は好いている・・・。そんな彼女が仕事に疲れ遅くに帰ってきた彼に放った一言は、「手っていうか、チ●ポ握らせろ」だった。もうここだけで爆笑ものなのだが、言われた夫はたまったもんじゃない。そりゃそうだ、貞淑を装っていた嫁に突然チン●握らせろと言われて驚かない夫はたぶんいない。呆然とただ聞き返す夫に開き直った嫁はもうチ●ポ握らせろやらセックスしたいと欲望を吐き出しまくる。(個人的な感想なんだけど、セックスに積極的な嫁って超萌えるね・・・ッ!)そんな嫁に恥ずかしさもあってか怒り心頭の夫。曰く、「きみはなんでそうムードがないんだ!」。しかし言い終わる前に喰い気味で嫁が普段から、私がどのようにムードを作ってきたかをぶっちゃける。亜鉛とマカを黙って服用させてたことにまたも爆笑してしまった。電気も付けずに言い争う2人、チ●ポなんて初めて言った、それほどあなたとセックスしたい!でも夫はやっぱり男にありがちなプライドが邪魔する。このまま平行線をたどるかと思われた議論のさなか、突如、部屋に光がきらめく!ご察しの通り”ミラーボール”が窓の外をブッ飛んで行ったのだが、それを知らない2人は、「いま君が輝いて見えた!」「あなたは後光が差して見えたわ!」となんかいい感じの雰囲気になり、おそらくこの後ドッキング。おそらくチ●ポって口に出して言う嫁というのが書きたかっただけじゃないのかと思わされるこの作品。爽やかないい笑いを提供してくれる。

[Part4]4つの掌編の最後を飾るこの作品。主人公は「夢・・・追いてぇんだ・・・」とぬかす、アフロで誰がどう見ても駄目男と同棲することになったが、家を決めてからフラれたすごくなんだか哀れな感じの女。もともと養うつもりだったのか家賃に不安は無い。しかしパーティーピープルな彼氏がつけていった”ミラーボール”を見て今更途方に暮れる。「これじゃ友達も呼べないな・・・」と自嘲気味に呟き部屋を横切ろうとしたその時、引っ越し直後で雑然としている床に落ちていたミラーボール用のリモコンを踏んでしまう。スイッチの入るミラーボール、燦然と輝く部屋、あの時彼氏が言った言葉。いろんなものが急に頭の中を駆け巡ったせいで、てんやわんやになってしまった彼女は奇声を発しつつミラーボールを天井からはずし、窓から大遠投する!これがパート1から3までの物語に出てきたミラーボールであった・・・。

 ギャグテイストの強い短編だが、『ドントクライ、ガール』でのあのテンポのいい馬鹿エロをまぜたギャグが効いていて声に出して笑ってしまうほど面白かった。ツイッターでヤマシタトモコさんが呟いてるのを見てたら結構これが地なんじゃないかと思えてくる。

・「エボニー・オリーブ」
今作の最後を飾るこの作品。どんな粗筋かというと、あとがきにも書いてある通り”グータンヌーボ的なガールズトーク”である。おそらく、このサイトを見てくれている諸氏の中には「何が、ガールズトークだっ!まず自分のツラを鏡で拝んでこい!馬鹿野郎!」とお思いになられる方が多いであろう。というか何を隠そう私がそうである。「いい年こいて何が”ガール”だ馬鹿野郎この野郎!お前は深めの肥溜めに肩までつかってろ!」とテレビに向かって毒づく私がなぜこの短編をチョイスしたか。それは上手に説明できないが、心にスーッと沁み込んでくるような働く女性の本音、「女だってたくましく生きてるんだ、こんちくしょー!」という風に感じたからである。
 普段テレビで放送している愚にもつかない女性本位の番組は、やはりテレビだし本音で語っていないようにいつも思う。だから”生の声”が伝わってこない。結果、ケツ拭く紙より役に立たない空疎な会話になっている。自分はそれが嫌だったんだなと気付かせてくれたのがこの作品。漫画の中の3人は本当に親友でキツイ言葉でも間柄は決して崩れない。その3人の中でも、こう言っては悪いが一番”平凡”な女性にスポットを当てて話は進んでいく。ある日、彼女は憧れていた男性に今度一緒にご飯食べませんか?と聞く。すると「彼女いてもいーなら」と男性の自分からもフォローできない最低の返事を貰う。以下、物凄く自分の心に響いたので一部引用させて貰う。

 べつにひとりでも生きてゆける
 でもさみしい
 できることなら愛されたい
―――(中略、様々な条件が提示される)―――
 そういう恋人に労せずして愛されたい・・・


この後の彼女のセリフが秀逸なのだが、それは買ってのお楽しみということで・・・。
 そして、いつも通り、いつもの店で、いつもの3人とご飯とお酒を楽しみながら、愚痴に花を咲かせつつ夜は更けるのであった・・・。


 さて、『ミラーボール・フラッシング・マジック』の中から3つの短編を選んで紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?今後とも当ブログではヤマシタトモコさんを推していきたいと思います(BLは勘弁w)。それでは、また次の日記で...!

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『楽園 Le Paradis 第5号』を読んで、色んな形の恋愛に身悶えしよう!

2011年03月03日
 白泉社から出版されているオール読み切り&描きおろし漫画雑誌『楽園 Le Paradis』という雑誌があるのは漫画読みなら、色々な所で取り上げられているしご存じだろう。第5号では、22人の漫画家・イラストレイターが参加されており、分厚さも前号より増しているように思われる。とにかく掲載されている漫画、どれ1つをとってもレベルが高く面白いのだが、今回は特に気にいった漫画の感想なんかを書いてみたいと思う。

・西UKO『コレクターズ』
 主人公は、ビブリオマニアの仁藤忍とファッション大好きの関埼貴子の女性二人である。この二人、どちらも趣味に多額の金額をかけているが互いに互いの趣味に対して全く理解が無く、いつも趣味の事で口論している。しかし実はラブラブで周りもちょっと引くくらいのカップルなのだ。でもそこは女性同士の恋愛関係。悩みは尽きず、自分は本当に愛されているのだろうか、どうして私の気持ちに気付いてくれないのか、といったような不安が2人で充実した時間を過ごしていても不意に心をよぎったりするのである。
 この漫画が『楽園 Le Paradis』で連載されている中で一番好きだ!もう、2人の心の機微が切なくて胸が締め付けられるね!モノローグを効果的に使い(※下記画像参照の事)、口に出せばきっと分かってくれるだろうに、不安だから言わない、というか言えない・・・。恋愛って良いなぁとしみじみ感じさせてくれる作品である。
コレクターズ


・水谷フーカ『14歳の恋』
 2年B組の田中彼方と吉川和樹、2人は幼馴染で小学生のころは周りの目を気にせず遊んだりしていた。しかし中学校に入学し第2次成長期が訪れると、2人の関係に変化が訪れる。周りよりも早く大人びた雰囲気を纏うことになった彼らは周りから「大人っぽい!」と称賛されることに。そして、その称賛に答えるためにクールを装わなければならないと思った2人はそのように行動する。けれどもある時、大人っぽさを演じているのではなく、現実に体も心も大人になってきていることに気づく。その一歩を踏み出せた2人は晴れて恋人同士になるが周りからの目を気にしなければならないため、自由にイチャつくことが出来ないのであった・・・、というのが大体の前回までのあらすじである。
 もう、この漫画読むたびに憤死しそうになるのは俺だけじゃないはず!甘酸っぺぇーーっ!中学生の青さと、ぎこちない初恋の恋愛模様が化学反応を起こしてとんでもなく甘酢っぺぇーーー!もうニヤニヤしながら読んじゃうよ!2人は前述したように周りからは憧れの優等生として扱われてるから人前では付き合ってない風に振舞ってるんだけど、思い出して下さい!自分が中学生だった頃、彼女がいた人もいなかった人も!あの頃のリビドーは抑えつけられるようなもんじゃなかっただろうッ!だからばれない様に目配せしたりメッセージをやり取りしたりするんだが、もう可愛いったらありゃしない!
 例えば下に張ってある画像。
(ネタバレになるので読みたくない人は飛ばしてね)
これはいつも一緒にいられることを感じられるためにお揃いのものを買おうということになった2人が、周りに関係がばれてはいけないので目立たないものをと選んだ結果、夏が終わりプールの授業が無くなるのでアンクレットなら靴下で隠せるとなって買ったものを、放課後、誰もいない教室で、靴下を脱ぎ、片方だけ裸足になり、お互いに差し出された足にアンクレットをつけるという、なんかもうエロを通り越して官能の世界に入り込んだ後の絵である。
水谷フーカ_01
うわぁぁああああああくぁwせdrftgyふじこlp
もう駄目・・・。死んじゃうよぅ!(←死因:甘酸っぱ死)
裸足というプライベートな部分をさらしあった2人の盛り上がった気持ちは顔を紅潮させ、キスへと至るッ!いいなぁ、あのころの恋はあのころだけにしか経験できなかったんだなと、しみじみ思った。


・黒咲練導『被嗜虐深度』
 前2作とは、全く趣の変わる黒咲練導先生の短編。黒咲先生は『楽園 Le Paradis』では当初より物凄くフェティッシュでエロス溢れる作品を描いておられる。青い恋など登場せず、あるのはドス黒い紅。最高にエロい今回の作品。購入して2日目だが、もう10回は読みなおしている。
 今回の短編では、高校生が巨乳・眼鏡・事務員姿のおばさん(おそらく叔母だろう)を訪れるところから始まる。写真を撮らせてくれと頼む高校生と快く応じる叔母。実は毒蛇の罠にかかっていることも知らずに写真を撮り始める高校生。美人で巨乳の叔母に淡い恋心を抱き、あわよくば・・・という気持ちはあったかもしれないが、突如、叔母からモーションをかけてきて一枚、また一枚と服を脱ぎだす叔母の姿に目を奪われる高校生。一糸まとわぬ姿になった叔母を無我夢中で写真に収め、ついに関係を持ってしまう・・・。行為が終わった後、高校生はごめんなさいと謝罪し、おそらくは甘い言葉で自分を慰め抱擁してくれるものだと信じていたのだろう。しかし、叔母から向けられたのは氷のような視線と、まるで何事も無かったかのように部屋に帰りなさいと語りかける声だった。意気消沈をして出ていった高校生を見送り、部屋に残った叔母は隠してあったビデオカメラに撮られた行為の一部始終を確認し、ニタリと歪んだ笑みをこぼすのであった。

ちなみに叔母さんの姿はこれ↓
黒咲練導_01
そりゃあさ、こんなショートカットで巨乳で年上の女の人がいたら、たまらんよなぁ。でも、よく言うように綺麗な薔薇には棘があるってことだな。とにかく、この漫画の素晴らしい所は黒咲練導先生の独特の画風が効いていることだ。艶めかしさ、誇張された肉体、糸を引くような描写は『放課後プレイ』を読んだ人なら分かるだろう。それら全てがいかんなく発揮されており読む者すべての嗜虐心をくすぐるのである。もはや引き返せない。


・かずまこを『ディアティア』
 女性に優しく甘い顔をした成田は家庭の事情で恋愛には興味がない、俺みたいなものが女性と付き合っていはずがないと考えていた。しかし、モてるので先輩後輩をとわず告白される。ある時、告白を断るとその子の後輩だという桐ケ谷と名乗る女子がやってきて、なぜ告白を断ったのか、先輩は良い人なのに!と彼を追求する。そして彼女には納得できない答えをする成田に対して、しばらくあなたの様子を観察させてくださいと申し出る桐ケ谷。2人で過ごす時間が増えるうちに成田は桐ケ谷に対して”あることがきっかけ"となり、人生で初めて恋に落ちるも桐ケ谷は先輩も彼女の友達も成田に告白して振られている、しかも自分はその2人がどれだけ彼の事が好きだったのかを知っているのでなおさらだと突っぱねる。しかしそれは、桐ケ谷も成田の人となりや生活環境を知り、魅かれていることに気付いていたが故の行動だった・・・、というのが大体の前回までのあらすじ。
 今回は最終話。桐ケ谷に告白した成田は振られたことに消沈するも、それでも彼女の事が好きだった。桐ケ谷は桐ケ谷で彼女の先輩、また友達の鈴音に対する申し訳のなさという体面を理由に断ったことに対して少しの罪悪感を抱きながら帰途へとつく。そこに成田を振った理由の一つでもある鈴音が一緒に帰ろうと寄ってくる。真っすぐ一本気な性格の桐ケ谷は友人に隠すことなく告白され、鈴音と変な感じになりたくないし断ったと告げる。以下、鈴音のそれに対する返答を引用する。

「成田先輩なら絶対そんなこと言わないよ」
「優しくないのは桐ちゃんの方だよ」
「先輩が桐ちゃんを好きだってことと 私の気持ちは全然関係ないじゃんか」
「真剣に桐ちゃんの事考えてくれてるんだから 桐ちゃんが先輩のことどう思ってるのかが一番大切でしょ!?」
「……私のこととか引き合いに出してずるいじゃん……」
「私が好きだった人のことなんだからもっとまじめに考えて!」

いい言葉だなぁ。友達が自分のことを理由にするなんて許せなかったんだろう。それが友情だし、こういったことが言い合える仲こそ真の親友だと思う。そして彼女は自問する。私は先輩のことが好きなのか?そもそも先輩はもてて振るのも慣れているんだし気にはしていないんではないか?――答えがでないまま彼女は、学校で彼女を待っていた成田と出会う。けれども、複雑な感情が入り組んで挨拶をしただけで通り過ぎていく。色々な事が頭をよぎりながら、ふと振りむくと成田が泣きそうな顔をしてこちらを見ているのと目があった。以下、桐ケ谷の心の声の引用である。

「そんなわけなかったんだ」
「どんな人でも気持ちを受け入れて貰えなくて平気なわけなんて」
「だけど私に笑ってくれて そんなに優しい人が」
「好きになった人の気持ちを何も考えないまま断ったりなんて するわけなかったんだ」


 彼の気持ちに気付き涙を流す桐ケ谷。


 そして彼女は言う―――――


「先輩のこと好きかもしれないですね ちょっとだけ」


 意地っ張りで恥ずかしがりやの彼女が耳を真っ赤にしながら言った精一杯の言葉。普通の人から見るとぶっきらぼうで不満を感じるかもしれないが、成田にはこれこそが良かったのだろう。そして2人は恋人同士となるのであった・・・。
 最高の青春ラブストーリーで、メチャメチャ面白かった!最高に胸が温かくなる、そんな漫画でした。


 さて、というわけで今回は『楽園 Le Paradis』の第5号の特に気に入った漫画について感想をつらつらと書いてみたのだがいかがだったでしょうか?他の連載陣に、中村明日美子・宇仁田ゆみ・木尾士目・二宮ひかる・日坂氷柯・シギサワカヤ・竹宮ジン・沙村広明・鶴田謙二(敬称略順不同)などなど、とても豪華なメンバーがそろっているので読んだこと無い人は読んでみるべき!
 
 というわけで、次の日記で...!

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