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『NOVA 3』読了

2011年01月03日
大森望責任編集『NOVA 3』を読み終わった。



 9人の作家の書き下ろし短編or中編を収めた一冊で、著者は五十音順に、浅倉三文/東浩紀/円城塔/小川一水/瀬名秀明/谷甲州/とり・みき/長谷敏司/森岡浩之の9人でいずれの方もSF読者なら知っているビッグネームばかりだ。大森さんは原稿を依頼するにあたって、全くテーマを作家に与えず好き勝手に書いて貰ったらしいが、なるほど前書きに書いてある通りどこか1冊を通じるテーマが見えてこなくもないから不思議である(ちなみに自分はそのテーマを”ポスト・ヒューマン”かなと思った)。お馬鹿なエロネタ小説あり、喫茶店で頭に浮かんだ事をババっと書き起こしたんだろうなと思えるぐるぐる不思議な小説、尖鋭的でパンク精神にあふれる小説等々、とても題材は幅広くて楽しく読む事が出来た。いつもながら大森さんの選集&編集は私の好きなものが多くてありがたやありがたや(笑)というわけで、以下はいくつか気にいった作品のちょっとした感想を。

・小川一水『ろーどそうるず』
 バイクに実際走った記録をメーカーにある仮想環境に構築されたテストマシンにフィードバックさせる機能がついていて、とあるバイクとそのテストマシンのやり取りを擬人化させて地の文が無い会話形式で書かれた作品。ユーザーに買われたそのバイクの夢はミュージアムに飾られる事だと語るが、事故ったりパクられたり、いろんな事に巻き込まれる。でもメーカーにあるテストマシンが励ましたり、なだめすかしたりして最後に壊れてしまうまで何とか走れるようにサポートするそのやり取りに思わず胸が熱くなった。最後のオチも秀逸。

・長谷敏司『東山屋敷の人々』
 今回『NOVA 3』に収録されている作品の中で一番好きな作品。科学が発展し、サラリーマンの年収程度のお金を毎年払い続ければ処置を始めた年から不老になれる技術がある未来、”家”という因習が色濃く残り、親族も多く、土地をもっていたり起業している人がいる家系で当主が死に、不老処置を受けた大伯父が家督を継ぐと言いだすが・・・。まさに、映画『サマーウォーズ』を見て自分の心に浮かんだ「”家”って現実は面倒くさいのにな」という事を書いてくれたアンチ・サマーウォーズな作品。順当に死んでいかなければ日本文化に根差した”家”という文化は回っていかないという事を改めて認識させてくれた社会派SFの傑作だと思う。

・瀬名秀明『希望』
 重力といういつも感じているはずなのに、全く意識していない力を車の衝突テストに使われる人形を用いて語り始める冒頭に完全にやられた。科学を使って世の中に騒乱を仕掛けた父と母に対する復讐譚とも読めなくないが、本質はまた違う所にあるのだろう。かなり文学性の高い作品なので、一度読んだくらいではまだよくつかめていないが、作中に漂う尖った雰囲気がとても気に入った。

 というわけで、他の作品も面白かったが特に気に入った3つの作品の感想を書いてみました。SFに興味あるなと思う方は是非読んでみてはどうでしょうか。それではまた次の日記で...!
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