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今号も人気漫画家が勢ぞろい!『楽園 Le Paradis 第7号』を読もう!

2011年12月12日
 さて、もう十二月も半ば、来年まであと半年になりましたね!いやぁー、今年一年を振り返ってみると、…特に何も思い浮かばないですねー!俺ってば、ほんとバカ。
 というわけで、十月三十一日発売から一カ月以上を経ていますが、今回紹介する漫画はこれだ!

・『楽園 Le Paradis 第7号』
 「おせーよ!」との声援ありがとうございます。しかし、一応このサイトでは毎号とり上げているのでもったいないなぁなんて思いまして、更新させて頂きます。

 第7号に参加している漫画家+イラストレイターは二十八人にのぼり、今号には久しぶりに林家志弦さんの作品も掲載されています。宇仁田ゆみ、中村明日美子、沙村広明、鶴田謙二、あさりよしとお、二宮ひかる、など有名漫画家から、鋭気溢れる新鋭漫画家まで相変わらず幅広い人材とジャンルを登用している所が『楽園』のエネルギッシュさを支えているのかもしれないですね。さて、それではその中からいくつか作品をピックアップして紹介していきたいと思います。

 表紙は引き続きシギサワカヤさん。三十歳すぎくらいでしょうか?膝の上で組まれた黒いストッキングで包まれた足からは、普段スカートで隠されている太ももが奥までチラリと見えて煽情的です。軽く頬に赤みが差しているので、電話の相手は恋人でしょうか?背景を観察するとおそらく勤め先にいることが分かります。
職場では真面目、悪く言うと”お固い”で通っていそうな大人の女性が、恋人の声が聞きたくて休憩時間に電話するなんてストーリーが浮かび上がってきますね!

・仙石寛子「夜毎の指先」
 この漫画は、姉と弟との近親相姦をテーマに扱ったものです。近親相姦、絶対のタブーとして世間では扱われているイケない関係。古代から世界各地で実際に行われていながら、遺伝的な問題、社会倫理の問題によって避けるべきもの、かつ侮蔑されるものとして扱われてきたことは周知の通りでしょう。しかし、イケない関係というのは人の性的興味の矛先として向けられるものであり、エロ漫画・官能小説の題材として不朽の地位を獲得している事もまた事実であります。

 さて前置きが長くなりましたが、「夜毎の指先」に話を戻しましょう。
 
 二人の関係は両親のいない夜に始まります。姉は弟がソファで眠っている時にそっと口付けし、目を覚ました弟に家族だから大事だと思う気持ちとは違う、恋心の好きという気持ちを抱き続けていたことを告白しはらはらと涙を流します。それに対して弟は、自分も姉の事を大事に思っている、しかし傷つけることになりはしないかと心配だと危惧しながらも、目の前で涙を流す姉の髪にそっと手を触れます。告白されたのは自分の方なのに、震える姉を見てもっとこの人に触れたいと、直接的描写はありませんが、一線を越える...、というのが第1話のあらすじ。

 今号、つまり第2話では第1話の夜を越えた、ある日の二人が描かれます。第1話と同様に、背景を全くと言っていいほど描かずに、コマを黒く塗りつぶす、もしくは真っ白なコマにセリフだけが乗っているのが非常に示唆的です。とても目立つ黒く塗りつぶされたコマはつまり罪の隠喩で二人の関係を表すものでしょう。そして、真っ白な背景に書かれたセリフは二人の関係を止めにしたいという気持ちを示したものが多く、洗い流したい欲求を表していると考えられます。

 しかし、上記の事柄は姉側の意見のあらわれであり、むしろ弟は「好きだ」と告白されてから姉の事を女として意識するようになり、関係を続けたい、もっと姉の事を知りたいという思惑に沿って行動します。すると当然、二人の意見は真っ向から対立することになり、想いを伝えられて初めて自分が何を欲しているかを悟った弟からしてみれば満足いく結果を得られず、もやもやとした感情を胸に抱くことになります。その結果、弟はモノローグで姉の事を”この人”と呼び、少し距離が出来てしまったことが分かります。

 アンビバレンツな想いが生まれたとき、そしてそれを相手に知らせてしまった時、どのように行動すればいいのか?共通の答えはおそらく存在しないでしょう。離別、心中、家出、初めからなかったことのように振舞う、色々と選択肢はありますが、この漫画がどういった道を通り二人なりの結論に達するのか目が離せない作品であります。

・志摩時緒『あまあま』
 同じ高校に通う宮本祐司と原美咲の二人は他の生徒にはバレ無いように付き合っている。美咲は美人として回りからの評判も高く、古くさい言い方をするとマドンナ的存在である。一方、宮本の方はというと特に目立たずかといって周りから空気扱いされているわけでもないフツーの男子高校生である、というのがだいたいの設定。

 今号から読み始めた人でも「あまあま」というタイトルが示す通り、初々しい高校生カップルが読んでるこっちがこっ恥ずかしくなるような甘ーっい恋愛模様を繰り広げているのを、悶絶しながら読むもよし、過去の自分を呪いながら読むもよし、世を儚みながら読むもよしなのでご安心を。

 ここまで紹介しておいて何なのですが、個人的にこの漫画は好きじゃありません。そのあたりの理由をここでは書いていきますので、興味のない方は飛ばして下さい。

 まず、最初の理由として挙げられるのが、”パターン化しすぎている”ことです。パターン化しているので”こうきたら、こうくる”というのが前もって読めてしまうんですよね。第6話にしてすでにマンネリ化していて、数ある高校生カップルもの漫画との差異が見当たりません。秘密の関係といっても、異性間カップルであって、特にやましい事もしていない。中学生のころから付き合っているので、二人の関係に初々しさも無い。では、どのように特色を出していくか?どのように他の漫画との差異を出していくか?という所が作家の腕の見せどころのはずなのに、結局は「秘密にしているが故に他の生徒に嫉妬する」「二人の関係がいつしか深まっているのを逢えない期間が出来て初めて気付いた」というありきたりなものに...。そもそも、この「あまあま」が連載される前から水谷フーカ「14歳の恋」が連載されていたのに、どうして似たようなテーマを連載させたのか編集の意図も不明です。
 次の理由として挙げられるのは、最初の理由とも相関関係にあるのですが、”四コマ漫画の体をとっているのにオチが弱い”ことです。そもそもあえて四コマを選んだはずなのに、個々の四コマにタイトルもつけずダラダラと前の四コマの続きを次で続けていくのなら、普通のコマ割りでよかったんじゃないでしょうか?起承転結は一応付いていますが、最も大事な結びのコマ、つまりオチが弱くなるのはこれが理由でしょう。示唆的なコマもありますが、「夜毎の指先」とは違い、こうするのがお決まりだよねという意思によって描かれているとしか思えません。

 以上、2つの理由から私はこの作品が好きではありませんが、他の人がどう感じるかは分からないので、もし単なる誹謗中傷意外に意見がある人がいらっしゃいましたら、コメント欄なりTwitterの方なりで、ご意見頂戴出来ると幸いです。

 第7号では他にも、男女二人の不倫関係を女性のモノローグで印象的に語るシギサワカヤ『未必の恋』、大人びたい女子中学生と年相応の男子中学生が不思議な縁からデートすることになった中村明日美子『金曜日の遠足』、個人的に今一番お勧めの百合漫画である西UKO『コレクターズ』、ギャグと百合を混ぜた林家志弦『ハート・クッカー』などなど面白い漫画がてんこもりなので、今回はちょっとネガティブな紹介記事になってしまいましたが、『楽園』自体は本当に面白い漫画雑誌なのでたくさんの人に読んでもらいたいと思っています。


 というわけで、今回はここまで。またお会いしましょう!アディオス・アミーゴ!
漫画 | Comments(0) | Trackback(0)
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