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不器用な高校生の恋愛模様に身悶えしよう!かずまこを『ディアティア』

2011年06月02日
 世間では、やれ政権交代だと声高々に宣言した政治家が裏切ったり、言った言ってないの小学生レベルの論争が繰り広げられていたりと、本来国民から頼りにされるべき存在である政治家がグダグダ過ぎて、なんだかニュースを見てるだけで疲れてきます...。未曽有の危機を迎えていても悪しき日本の慣習は無くなりませんでしたなぁ。
 と、なんだか呆れたり悲しくなる話題はこれくらいにしておいて、今日もレビューと行きましょう!今回は、日本全国3000万人の拙ブログファン待望の漫画レビューですよ!検索エンジンから訪れてきた人も、そのほとんどが漫画記事目当てなことからもこのブログの存在意義が漫画にあることは丸分かりですが、これからも小説のレビューは辞めませんよ!今後は、アニメや映画の記事なども作って、もっとアバンギャルドな内容のブログにしていきたい所存でございます。石を投げないで下さいッ!


・かずまこを『ディアティア』(白泉社)

 「かずまこをさんって誰?」という人は著者の公式HPがあるのでそちらを覗いてもらうとして、ここでは軽く触っておきたいと思う。
 私が最初にかずまこをさんの事を知ったのはおそらく『百合姫』だっただろう。シャープな絵柄と黒ベタの使い方が上手く非常によくまとまった内容の作品を描かれているので、好きな漫画家さんの一人である。『百合姫』の出版社である一迅社からは女生徒と女教諭の恋愛を描いた『純水アドレッセンス』と、自由奔放に振舞う後輩と彼女に振り回される先輩との関係を描いた『さよならフォークロア』が刊行されている。どちらの漫画も百合漫画ファンの端くれとして言わせてもらうと、・・・傑作である。特に『純水アドレッセンス』には、あやうく死因が”悶え死に”となり家系に汚点を残す所だったほど興奮した(笑)デビュー自体が最近なので今回紹介する『ディアティア』は、まだ3冊目の著作である。

 それではこれからレビューに入っていきたい。

愛しく
切なく
初々しい
ふたりの 初恋物語。

 白泉社から季節ごとに刊行される漫画雑誌『楽園』の第1号から5号までに連載されていたものに加えて、Webでの増刊+書き下ろし(6ページ)を加えた構成である。連載されている時から、名だたる作家(宇仁田ゆみ/二宮ひかる etc.)によるハイレベルな漫画の中でも光っていると思っていた。拙ブログでも過去に触れているので興味のある人はこちらをどうぞ。

それでは主要キャラクターを紹介しよう。

DearTear_02
成田秋人(ナリタアキト)。今作の主人公で高校2年生。幼い時に父を亡くしシングルマザーの家庭で育つ。男に依存しがちで、ちょっとしたことでも涙を流す情緒不安定な母親に幼い時から接してきたせいか、女性に泣かれるのが苦手である。誰にでも何の気遅れも無く優しく出来る生来の気質のおかげでよく女性にモテる。悪く言えば”天然のジゴロ”である。

DearTear_01
桐ケ谷睦子(キリガヤチカコ)。今作のヒロインで弓道部に所属する高校1年生。性格は正直者で友達思い。分からないことがあればそれを解決するまで突き進む猪突猛進タイプ。ストレートな物言いと弱音を人に吐かない態度から強い女の子だと周りに思われがちだが、年相応の弱さも持っている。男女関係については疎い。

DearTear_Mika01.jpg
美佳(ミカ)。このキャラだけ名字が見つからなかった。高校3年生。桐ケ谷曰く「美人で頭も良くて優しくて悪い所が無い」と評される弓道部の先輩。実際、漫画内の表現からも人望は厚いようである。ちなみに普段は綺麗なロングストレートを真っすぐ下ろしているが、部活の際は邪魔になるのかポニーテールにしている。

DearTear_Suzu01.jpg
葉月鈴音(ハヅキスズネ)。桐ケ谷のクラスメート。決して容姿が悪いわけではないのに自分に自信が無いため、いつも自らを卑下しがち。1学期の初日に成田に助けてもらい、初めて友達になったのが桐ケ谷であるので、2人のことを特別視している。周囲に埋没している自分のようなものと仲良くしてくれていると無意識に考えているので、そんな2人の事を本当に大切に思っている。

 最初に書いておくと、この漫画のメインテーマは””である。その””に注目して読んでいけばより深くこの作品を理解できるはずである。
 
 第1話は成田と桐ケ谷の物語である。場面は美佳が成田に告白する所から始まる。しかし女の子と付き合う意思の無い成田は断る。次の日、成田の元に桐ケ谷が訪れ、何故自分が敬愛する美佳先輩では駄目だったのかと詰め寄る。美佳本人にならともかく見知らぬ後輩にこたえる義理は無いので、そのことを説明し逃れようとするも桐ケ谷は成田のどこにそんな魅力があるのか分からないので成田の事を知りたいと願い出る。このあたりは直情的で分からないことが嫌いな桐ケ谷の性格がよく出ており、読者にそのことを強く印象付ける。成田と一緒に下校することになった桐ケ谷は、ぽつぽつとぎこちなく言葉を交わしながら成田の家までたどり着く。すると中から泣きながら成田の母親が出てきて成田に駆け寄るや否や、現在交際している男性がどれほど自分に辛く当たるかを桐ケ谷がいるにもかかわらず喚きたてるので、その日は気まずく別れることとなった。常識で分かると思うが、高校生であっても社会人であっても自らの家の恥部とも言える部分を見られるのは恥ずかしく、見てしまった方は気まずいものである。そういった理由から、もう来ないだろうなと思っていた成田だったが、意外にも桐ケ谷はやってきたので、また一緒に下校することになった。見られたものは仕方ないと家庭の事情を説明し、「恋愛は苦手。だから今は誰とも付き合う事は考えられない。気持ちは嬉しいし泣かせたくは無いんだけど」と語る成田の言葉に桐ケ谷は気付く。それは成田が女の子の涙が嫌いなのだという事に。そしてそのことを告げると成田は思い出す。観戦しに行った弓道部の負け試合で1人だけ真っ直ぐな瞳をして涙を見せなかった女の子の事を。そして桐ケ谷も思い出す。試合に負けた後、水道で顔を洗っている時に「いい試合だったね」と声をかけてくれた先輩のことを。2人は前から、無理矢理意識の外に押しやっていたものの、互いのことが気になっていたのだ。その気持ちに今になって気付き、「ただ先輩のことが気になって・・・」と涙を流した顔を見せないように去っていこうとする桐ケ谷の腕をつかみ無理矢理振り返らさせ、泣いてる姿を見つめる成田。

いつも真っ直ぐ目を見れずに
どれだけ とりこぼしてきただろう
桐ケ谷は目を逸らさないから まつげに跳ねる雫がよく見える
ああ 俺の指はちゃんと 女の子の涙を拭えるんだ

 桐ケ谷の意思の強い瞳から零れる涙。青春の凝縮物と言っても過言ではないほど純粋な涙を流す少女と、自らが手を伸ばせば綺麗なものに手が届くことに気付いた複雑な境遇に育った少年の美しさが、巧みな構図で胸に迫るように描かれている。

 第2話は美佳先輩の物語である。成田はどんな顔をして桐ケ谷に会えばいいか悩んでいたが、いざ会ってみると普通に接することが出来て安心する。しかし桐ケ谷は違った。直情的で義理固い彼女は美佳に対して負い目を感じていたのだった。そのため、彼女は嫌いという訳ではないけどもう成田とは一緒に帰れないと苦渋の決断をする。どんな理由があったにせよ、泣かせてしまったという事は事実なので悶々と反省する成田は下校の時、偶然美佳に声をかけられて駅まで彼女を送っていくこととなる。一見、なにもなかったように振舞う美佳であったが、訥々と自分が成田をどのくらい好きだったか語り出す。駅について、別れの間際、彼女は成田に謝意を伝える。その時、成田は初めて美佳の勇気を察し、「こちらこそ好きでいてくれてありがとうございました」とその時の本当の気持ちを伝える。すると美佳の瞳から流れる涙その涙の意味を明確に一言で表すことはできないだろう。今まで成田のことを好きだった想い出が一気に去来したための涙、ああ彼を好きになって良かったという自分の心に区切りをつけるための涙、彼の心に私が残ればいいのにという身勝手な願いから流す涙、そういったものが混じり合い自然に湧き出た涙だったのだろう。この場面は読んでいて、鼻の奥がツーンとした。美佳と成田が恋人同士になることはもうない。ふたりの人生という道は別れてしまったのかと思うと胸を熱くせずにはいられなかった。

 第3話は葉月鈴音の物語である。前述したように鈴音は入学式の初日に桐ケ谷と成田に出会い、成田のことは憧れのカッコいい先輩、桐ケ谷は親友になりたい人という感情を持った。成田とは学校生活のいろいろな場面で出会いその度優しく接してくれる。桐ケ谷はささいな変化でも鈴音のことなら気づいてくれる。自らに自信が無く、個性もないと感じている鈴音にとって周囲から自分を見つけ出してくれる2人をますます好きになっていくのは当然の成り行きだろう。その延長線上で鈴音は成田に恋に落ちるのであった。しかし偶然、成田が他の女の子に告白されている場面に遭遇してしまう。そして、鈴音基準で自分より可愛い女の子が振られてしまうのを見た彼女はすっかり気後れし、成田への恋心をひっそりと自分の中で諦めようとするが、やはり諦められない。そんな折、成田と桐ケ谷が仲良く喋ったり一緒に下校したりしているのを知ってしまう。心に芽生える嫉妬の感情。しかしそれを押さえつけ自然に振舞おうとしていたそんなある日、桐ケ谷と成田についての話をしていると成田本人がひょっこりとその場に現れる。このことに泡を食った2人は完全に舞い上がってしまい、桐ケ谷は鈴音が成田のことが好きである事を秘密だったのにバラしてしまう。モジモジと3人で顔を赤面させつつ出した結論が、鈴音と成田が2人で一緒に帰ることだった。成田と一緒に帰れることになって嬉しいはずなのになぜか頭の中に思い起こされるのはいつも鈴音に優しくしてくれた桐ケ谷の事ばかり。嬉しいけど淋しい、そんな気持ちに突き動かされ鈴音は、自らの感情を発露させる。

言わなくちゃ 何で言えないんだろう 何で言わないんだろう
二人はいつだって 私の話を 聞いてくれようとしてて
だから
だから私は
(中略)
桐ちゃん 私 
伝えられてよかった 先輩も 桐ちゃんも 好きになってよかったよ

 なんて不器用でそれでいて、なんて真っ直ぐな言葉だろうか!いま現在これを引用している最中にも涙ぐむほど、この場面が好きである。涙を流しながら、告白する鈴音。でもそれは恋では無く憧れの延長だった。でもそれでよかった。だって好きだから。自らを卑下しいつも周りに埋没していた彼女が発した、彼女だけの言葉には感動せずにいられない。

 第4話は桐ケ谷と鈴音の物語である。第3話の最後で鈴音を追った成田を見てこれが最良の結果だと自らを戒め、鈴音のことを思い成田を避ける桐ケ谷。成田は成田で、いつも困らせてばかりいるし、早く桐ケ谷のことを諦めなければと刹那的な高校生にありがちの誤解をしていた。一方その頃、鈴音は桐ケ谷の家に訪れていた。恋愛に疎い桐ケ谷は成田のことを思うと胸が痛くなったり、どうしても考えずにはいられないことを恋だとは認識していなかった。いやわざとそう考えるのを避けていたに違いない。元気のない桐ケ谷に鈴音は自分がどういう風に振られて、でも今は桐ケ谷は友達として、成田は優しい先輩として好きということを親友の彼女に伝える。とにかく避けるのではなく、よく話し合うべきだと説得し、翌日以降に備えるという結論に至った。しかし成田は休んでいたり、教室にいなかったりと、こういう時に限ってなかなか会う事が出来ない。頭がショート寸前の桐ケ谷は、気分転換のため文化祭の手伝いに参加する。看板作りを仰せつかった彼女は絵の具片手に指定された作業場所へと向かう。するとそこには、成田が先に作業を始めていた。2人っきりの教室。桐ケ谷は詰め寄る。どうしてさっき挨拶した時に私から目をそむけたんですか?嫌いになったからですか?と。当然、成田にしてみれば勘違いもいい所で、嫌いになんてなるはずもない。ぎこちない沈黙を破る様に理由をつけて出ていこうとする桐ケ谷の腕をつかみ、最初に彼女の涙をぬぐった時には言えなかった言葉を口にする。

「俺・・・ 桐ケ谷のことが好きなんだ」



 最終話はみんなの物語である。唐突に告白された桐ケ谷は、「困ります・・・」とだけ言い、明確な返事をしないまま、「水を汲んできます」と言って部屋から出ていってしまう。成田に思い出されるのは、今まで自分に告白してきた女の子が流した涙のこと。しばらくしても戻ってこないので不思議に思った成田が扉を開けると、水入れだけが扉の外に置かれていた。つまり、そういうことかと落ち込む成田...。場面は転換し、足早に下校しようとする桐ケ谷に移る。成田に告白されたばかりなのに美佳に出会ってしまった桐ケ谷は、聞かれてもいないのにどれだけ桐ケ谷睦子が美佳先輩を尊敬しているかを語り出す。「私にそんな風に言わなくちゃいけないことがあったの?」とお見通しの美佳。そのこともあって、なおさらどうすればいいか分からなくなり下校していると、今度は鈴音と出会う。「どうだった?先輩にこのあいだ勝手に帰ったことを謝れた?」と聞く鈴音に今さっきまでのことを打ち明け、返事もせずに帰ってきたことを告げた。それを聞いた鈴音は烈火の如く怒る。

「桐ちゃん ちゃんと返事したの?」
「・・・・・・こ・・・・・・ ・・・・・・困りますって・・・・・・」
「え・・・!?それで?」
「置いてきちゃった・・・・・・」
「・・・・・・・・・ ひどい・・・・・・ 成田先輩なら絶対そんなこと言わないよ
    (中略)
 私が好きだった人のことなんだからもっと真面目に考えて!」

 親友だから許せなかった。親友だからきっと桐ケ谷のホントの気持ちも分かってたのだろう。これこそが友情である。自分のために怒ってくれる人こそ、若いうちに手に入れるものの中で一番大切だ。それを手にしている桐ケ谷がすべき行動はひとつであるはずだが...。翌朝、学校の敷地内で出会った成田に挨拶だけして逃げるように駆けていく桐ケ谷。「そうだよ、きっと先輩は大丈夫。きっと私よりずっと良い女の人を見つけるんだ」、自らが傷つきたくないがために様々な理由をつけ続ける。でも一目だけとバッと振り返ると、さっきは笑って挨拶してくれた成田が泣きそうな顔をしていた。そして気付く。平気なわけがなかったんだと。先輩が今まで断ってきたのはその人の気持ちを考えないでの行動では無かったんだと。成田秋人は優しい人なんだと。流れる涙。この涙は先輩のことを理解できたという嬉し涙であろう。
そして2人は晴れて・・・
DearTear.jpg


 かなり長くなってしまいましたが、それだけこの漫画『ディアティア』=”Dear Tear”がもう赤面しちゃうほど可愛らしい恋愛をしてる最高の青春恋愛漫画だということが少しでも伝われば幸いです。あ、最後になりますが書き下ろしページがもう思わず心臓がキュン死しそうなほど、こっ恥ずかしいものが載っていますので是非買って確認してください(笑)


 というわけで、いかがでしたでしょうか?それでは次の記事で...!
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