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最近読んだ本の感想 vol.8

2011年10月17日
 おっと気がつけば10月も半ばを過ぎているじゃないですか!やだー!もう今年も終わっちゃうよー!というわけで、1カ月と少々ぶりの更新であります。いや、感想書きたい漫画やら小説はあるんだけども、なんとなくブログの更新をするのが億劫で…。まぁ、あんまり気張らずにこれからもやっていけたらいいなと思っています。Twitterの方では随時、読んだ本や漫画の感想、観た映画・アニメの感想なんかを呟いておりますので、こちらの方も合わせてよろしくお願いします。さて、今回の更新は小説の感想です。

・メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』
 言わずと知れたゴシック・ロマンスの傑作。何度も映画化されているのでストーリーは知っているという人は多いと思うが、実際に原作を読んだ人となるとその数はぐっと減り、またフランケンシュタインを怪物の名前だと勘違いしていたり、”怪物”は頭にボルトが刺さっていて「あーうー」としか喋ることが出来ないと勘違いしている人は多いのではないだろうか。

 本書の構成は、北極に探検に来た才気あふれるが理解者がいないことを嘆く冒険家の若者ロバート・ウォルトンが実姉に出した手紙、つまり伝聞の形をとっており、ウォルトンの現在→フランケンシュタインの過去→怪物の過去→フランケンシュタインの過去→ウォルトンの現在、という順番で時系列順に物語は語られる。

 船に乗り北極探検に向かったウォルトンは、ある日流氷の上で遭難している人物を保護する。その人物がヴィクター・フランケンシュタインで、彼は体力が回復するにつれ、自分がなぜこんなところで遭難するに至ったかをウォルトンに語りだす。その過去こそ、名も無き”怪物”を創り出してしまった事であり、その怪物によってもたらされた惨劇であった…、というのが大まかなストーリー。

 『フランケンシュタイン』は孤独の物語である。ヴィクターは無責任で終始自らがなしてしまったことについての責任から逃れようとし、結局愛するもの全てを失ってしまう。怪物の方は、産まれた瞬間に創造神(=ヴィクター)から見放されることになり、放浪の末辿りついた森での暮らしで自然の美しさを知ったものの、その後小さな村の納屋に隠れそこに住む家族を観察し様々な事を学ぶうちに、自分がとてつもなく異形で自分の理解者はこの世に1人もいないという現実に気付かされる。

 2人の孤独なキャラクターは旅の最後で何を見るのか、それを是非読んで確かめて欲しい。出版されて200年近く経っても、読後、胸にこみ上げる虚しさは何ら色褪せていない。

 ちなみに、『フランケンシュタイン』を考察する際に定石となっているのが、”心理学的読み”および”科学的読み”である。前者は<抑圧された本能=汚く醜いものが脅威となって回帰してくる>物語として本書を読むことであり、後者はブライアン・オールディスが著書『十億年の宴』で持ち上げたことで定説化した、つまり、フランケンシュタインの怪物とは、それを発明した人間の手から”自走するテクノロジー”の脅威ということである。
(この文章を書くにあたって風間賢二氏の『ホラー小説大全 ドラキュラからキングまで』を参考にし、一部引用させていただいたことを最後に記しておく。最高のホラー小説入門書&ガイドブック&評論の書である。)



・ガイ・バート『ソフィー』
 「ミステリで何か良作が読みたいな~」と考えていたら、最近はすっかり落ち着いてしまった感のあるサービス、”ザ・インタビューズ”でこんなものを見かけた。

海外ミステリ初心者なのですが、何がオススメですか?5冊ほど挙げてくださると嬉しいです。よろしくお願いします。

 私もミステリ初心者であったことと、入手が容易で現役で活躍されている作家の作品という事で興味を持ち、とりあえず買ってみたのが、この一冊。想像以上の読書体験を与えてくれた。

 嵐の夜に、蝋燭のみを灯した影の濃い荒れ果てた部屋の中で拘束された女性ソフィーと、彼女を監禁状態にしている男でありソフィーの弟でもあるマシューが「ソフィー?殴ったりして悪かったよ。ほんとは、乱暴なんかしたくない。でも――わかるだろ?嘘はいやなんだ。そういう段階はもう過ぎた。駆け引きはごめんだ。いいね?」となんだか色々な事を示唆するようなセリフを述べるシーンから唐突に物語は始まる。
 本書は、2人の過去と現在の状況とが交互に語られる構成をしており、過去パートでは2人の子供時代の幸せだけれども、ソフィーの謎あふれる行動に疑問をうっすらと抱くマシューの思い出が語られ、現在パートではその過去の思い出を元に現在なぜ拘束されている/拘束してしまったかが徐々に明らかになっていく。

 イギリスの片田舎の田園地帯で育ち、採石場跡や広大な庭に秘密基地を作り、近くの森で遊ぶ姿は美しく正に<楽園>のようだが、その一方で、ほこりっぽい居間に居座り子供たちの面倒を見ない母親、滅多に姿を見せない父親、ソフィーが時折見せる謎めいた行動が物語に不穏な気配、穏便に終わることはないだろうという予測を与えてくれる。

 何を語ってもネタバレになってしまいそうなので多くは語らないが、隠喩や暗喩を多く用いた文章を読み進めていくうちに、前述の謎が明らかになっていく様は快感でもあったが、子供時代つまり<楽園>の終焉、そうせざるをえなかった姉ソフィーの行動と、現在の状況を作りださずにはいられなかった弟マシューの目的もまた同時に明らかになっていくので、哀しさと諦念も感じざるを得なかった。

 面白いミステリが読みたいならこの作品を読んでみればいいと自信を持って薦めることが出来る作品。目を皿のようにして少しの情報も逃さないように注意しながら、瑞々しい情景描写に純粋に心を委ねてみよう。


 えー、もう一作紹介しようかと思ったが、久々の更新なので、このくらいで勘弁して下さい。どうやって文章を書いていたかをすっかり忘れてしまった気がするが、以前の文章を読み返してみるとたいして変わっていないことに気づいた絶望感に浸りながら筆をおきたいと思います。
 
 それでは、次回の更新(なるべく早くくるようにするよ!)でお会いしましょう!
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