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最近読んだ本の感想 vol.7

2011年08月29日
 さて、SF大会も今週末に迫ってきましたね!初参加という事で少々緊張しております。「えっ?まだ1000冊読んでないの?」とか言われて塩をまかれない事だけを祈っています。
 8月はSF大会の事もあり、個人的にSF強化月間にしようと思っていたのですが、結局いつも通り色んなジャンルをつまみ食いして終わりそうです。そんな中から3冊、今回もチョイスしましたので紹介していきたいと思います。

パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』ハヤカワ文庫SF
 発売当初に買っていたのですが、結局読んだのは今年の8月に入ってから。かなり話題にもなり、面白いという評判を前もって聞いていたのに何故積んでいたかというと、理由は1つ。帯に『ニューロマンサー』の文字があったから。僕は『ニューロマンサー』に3回挑戦してそのどれもにおいて途中で挫折しているので、頭の中に苦手意識が植え付けられた小説となってしまい、以来ずっと避けてるんですよね。それがあったので帯に”『ニューロマンサー』以来の衝撃”なんて書かれていると、これはもう読む前から「嗚呼、また俺はこうして挫折感を味わうのか…」なんて不貞腐れていたんですよ。けれども、これがどうして読んでみると冒頭から「どうしてこんな世界になっているんだろう?」という興味が尽きず、一気に読了することが出来ました!ハレルヤ!
 ストーリーを簡単に述べると、”石油資源が枯渇し温暖化が進んだ近未来のバンコクが舞台。世界的に沿岸都市は海にのまれ、農作物には新種の疫病が流行しているため、遺伝子操作をした農作物しか育てられなくなっている。そしてその遺伝子改造技術をもった企業(カロリー企業と揶揄されている)が世界経済を実質支配している。そんな中、バンコクは豊富な失われた遺伝子プールを保有しており、カロリー企業からそのデータを狙われている。主人公のアンダースン・レイクもカロリー企業の一員で現地で新型ゼンマイ(新たなエネルギー手段)を開発するのを隠れ蓑にその遺伝子プールの獲得を画策するのだが…”といったもの。
 世界がどうしてこうなったかの説明は書かれていないので断片的な情報から推測するしかないのだが、キャラクターの魅力、その中でも新人類と呼ばれるアンドロイド”ねじまき少女”のエミコから特に目が離せなかった。エミコは日本の金持ちの秘書兼愛玩道具として働いていたが、タイへの出張についてきた際、現地で捨てられてしまった。肌を美しく見せるため毛穴の数が極端に少ないエミコは、熱帯のバンコクでは生きていけない。頼るあても無く金も必要なエミコはストリップバーで働くこととなる。人間に従順になるように躾けられたエミコはそこでSMプレイの格好のM役として屈辱に耐え、幾ばくかのお金と体を冷やすための氷水を得ている。なんとも、自分好みの設定なので、読み進めれば進むほど彼女の事が気になって仕方が無かった。
 また東南アジアのタイ王国という国と、そこでの土着の信仰もまた、小説を盛り上げる設定として使われている。タイのもつエネルギッシュさ(悪く言えば猥雑さ)がこの本からは感じられる。またこの本の舞台バンコクでは政情も不安定であり、それもまたこの『ねじまき少女』の世界のスリリングで切羽詰まってることを読者の脳裏に喚起させる。
 とにかく読んでいて、事件がドンドン起きるので全く飽きが来ない。未読の方はできれば夏が終わる前に、クーラーの効いた部屋では無く、蒸し暑い部屋で読むと臨場感が増しますよ!



アルフレッド・ベスター『ゴーレム^100』未来の文学
 この本はベスターという狂人の書いた本の中でも最高の一作なのではないだろうか?LSDで脳味噌が沸騰しているかのような強烈な文章に、こちらの頭がどうにかなりそうだった。とにかく下品で、グロテスクで、暴力的で悪趣味なのだが、間違いなく面白い。
 <蜜蜂レディ>と呼ばれる特権階級の女8人が暇つぶしに始めた悪魔を召喚する儀式で召喚された彼女たちのイドを反映した怪物"ゴーレム^100"が起こす殺人にレイプ。それを調査するというアクションミステリーの要素をとりいれながら、サイケデリックアートを用いイドの世界を表現したりしていて、ベスター節全開で物語は進んでいく。終盤の展開は百鬼夜行、乱痴気騒ぎのフリークショー。もはやそんな語彙では表す事が出来ないような、凄まじい展開が待ち受けている。言葉遊び、ダジャレ、下ネタ、グロテスクな表現が多用されているが、よくぞこれを邦訳できたなというのが読みおわって最初に感じたこと。
 『虎よ、虎よ!』で少しでもこの作家好きだなと感じた人は読んでみて損はしないと思う。


J・G・バラード『殺す』創元SF文庫
 なんとも挑発的なタイトルのこの本。Amazonのおすすめ商品に上がってきた時から気になっていたので購入した。SF作品というよりミステリではあるが、この作品から現代の犯罪を想起せざるを得ないという所ではSFかもしれない。読後には何とも言えない虚しさのような物が残った。
 外部のコミュニティと隔絶された箱庭的高級住宅地に住む上流家庭の家族たち。子供たちは両親から充分な理解を得て、溢れんばかりの愛情を注がれていた。しかしある時、そこに住む大人が全て殺され、子供が行方不明となる事件が起こる。精神鑑定医のドクター・グレヴィルは独自の視点から調査を開始し始めると思いがけない事実が浮かび上がってくる...、といったストーリー。
 ネタバレ抜きに語るのは難しいのであまり多くは語らないが、なんとも切ないなと自分は思った。鬱屈した感情を溜めていると、いつかどこかで間違った方向へと爆発してしまう。誰もが分かっているはずのことなのに、社会では我慢が美徳とされている。そんな今の社会と照らし合わせることでより多くこの小説から得られるものがあるのではないだろうか?


 さて、書評というよりほぼ感想文だし短いし文章は下手だしで文句はあると思いますが、何せ暑くて…。あと文章力は気長に成長を期待して置いて下さい(笑)
 いつも迷うのは、1冊だけを詳細に紹介するか、こうして何冊かを軽く紹介するかということ。何冊もまとめてする方が上辺だけをサラッと書けばいいので楽なのは楽なのだが、なんだか自分でも物足りないなと感じてしまう。うーむ、難しい所です。何かご意見・ご感想のほどありましたらコメント欄にてお気軽にどうぞ。それでは、また次の更新でお会いしましょう...!
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