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今度の亀は饒舌?!北野勇作『かめ探偵K』の感想

2011年05月30日
 梅雨入りの前からはっきりとしない天気が続きそのままグダグダと関東の方では梅雨入りをしたそうですね。昔は雨の日が好きだったのですが、最近はちょっと雲が出てるくらいの晴れの日が好きな管理人・たまきちでございます。時が過ぎるのは早く、もう5月も終わりかと思うと嫌になってきますが、ボチボチ生きていきたいと思います。といった所で、今回も感想文に毛が生えた程度のレビューを書きたいと思います。

・北野勇作『かめ探偵K』(メディアワークス文庫)

~どこか懐かしい不思議なものがたり~
街はずれに、寂れた博物館が建っていました。何の変哲もない建物ですが、その屋根裏部屋には、亀が住んでいるのです。部屋の扉には、クレヨンでこう書かれています。「かめ探偵K」。
かめ探偵Kの仕事は3つ。1つめは「甲羅干し」。2つめは「かめ体操」。そして3つめが「謎解き」。依頼人が持ち込んでくる奇想天外な謎を、かめ探偵Kは甲羅の中で推理していきます。
どこか懐かしい、でも近未来の小さな小さなおはなし。はじまり、はじまり。



 関西SF作家の中でも特に幻想的というか寝ている時見る夢(時にデヴィッド・リンチのような悪夢的であるが・・・)のような世界を書かれる北野さんの新作小説である。メディアワークス文庫から出るのは『メイド・ロード・リロード』(AA)以来だが、まさかライトノベルのレーベルから2冊も出版されるとは、ファンとして何とも嬉しい限りである。

 今はもう失われてしまった”旧世界”の雰囲気がどのようなものだったかを展示する「旧世界座」という建物は、普段、夫妻が管理しているのだけれど、世界一周旅行に出かけることになったので娘のナツミに管理が回ってきた。しかし静かな湖畔の森の影より閑古鳥が鳴いている「旧世界座」なので、生活費のためにと両親が見つけてきた店子、それがかめ探偵Kなのであった!そのかめ探偵Kに加えて、ある日突然押し掛けてきた、こまっしゃくれた少女・フユの3人で物語は進んでいきます。ちなみに、書くまでもないと思いますが、かめ探偵といっても亀のコスプレをした人間ではありません。大人の人間くらいのサイズのれっきとした亀です。・・・なにか、おかしいことでも?

 小説の形態は、「新世界通信」というこの世界で発行されている新聞の「面白記事」の欄に掲載料目当てで投稿されるナツミのかめ探偵Kについての観察日記兼エッセイという体を取っています。ナツミ視点で進む物語は、かめ探偵Kの不思議な生態や、ヘンテコな事件の依頼をズバッと解決するかめ探偵Kの様子、事件に巻き込まれたナツミを名推理で救ってくれたかめ探偵Kのことなどなどを、非常に優しさと笑いあふれる文章をもって書かれていて、読んでいる最中、「よし今日はここまでにしよう!」と決断するのが難しく感じるほど不思議な牽引力を持っています。ちなみに推理パートを解くにはかなり柔軟な発想を要求されるので、ハードミステリではありませんが、そっち方面を期待されている方にも楽しめるかな?

 世界観は、北野さんが得意とするディストピアのようなユートピアのような世界━過去に”旧世界”と今では呼ばれる世界があったが科学の発展とそれを扱う人間のモラルの無さから滅びてしまい、いまでは”おわん湾”にしずんでいらしい━をノスタルジックに所詮人間ってこんなもんでしょ?というブラックユーモアを交えて書かれているように私は感じたけれど、量子論SF/スペキュレイティブ・フィクションとはっきりジャンル分けするのではなく、「北野勇作の!不思議な世界!」で私は良いと思います。

 さて、最後になりますが、1つあまり関係ない事を。『かめくん』、『カメリ』、『どろんころんど』に出てきた亀は鼻息だけでしか会話しませんでしたが、今度のかめ探偵Kは、凄く饒舌です!なにせ、探偵ですからね!北野さんによると、北野さんの著書の中で亀が喋ったのは今回が初めてだそうな。

 というわけで、北野作品に触れたこと無い人でも全く問題なく、肩ひじ張らずに難しい事をなーにも考えずに読める良著ですので、この機会に読まれてみてはいかがでしょうか?


 さて、今回はこれぐらいで失礼します。何かありましたら、コメント/ツイッターのリプライにどうぞお気兼ねなくお申し付けください。それでは、また次の記事で...!
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