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最近読んだ本の感想 vol.2

2011年02月28日
最近読んだ本の感想でも。

・マイクル・フリン『異星人の郷(上・下)』
 
 14世紀中ごろのドイツの田舎(上ホッホヴァルト)に異星人が舞い降りたらどうなるかを書いた異色のファーストコンタクトSF。過去パートと現代パートの2つのパートから成り立っているこの作品。過去パートは、高い技術を持った異星人の恩恵を授かろうといろいろ手を回す領主、いまよりも真剣にキリスト教を受け入れていた民衆と姿形が全く異なる異星人との間の軋轢、両者の間で板挟みになりながらも何とか故郷に帰れなくなった異星人を助けようとする神父、の3つの主軸を元に書かれている。現代パートでは、歴史上の詳しい史実も無くなぜか放棄された地方(上ホッホヴァルト)に違和感を覚えた歴史学者がその理由を探っていくうちに様々な事実が浮かび上がり、恋人の宇宙物理学者からインスピレーションを授かって謎に挑むというテーマで成り立っている。
 SFマガジン編集部編『SFが読みたい!2011年版』で見事に海外部門1位に輝いただけの事はあって、凄い面白かった!過去パートではキリスト教的観念、当時の勢力情勢などが分かっていないと少しキツイ所もあったが、分からない所はそんなもんなのかと頭から飲みこんでいけるので読んでいる途中で詰まるという事は無かった。今の時代から考えれば、全く残念な産業技術レベルの社会が上手に、臨場感をもって書かれている所が特に気に入った。よくあるパターンのジョークの効いた小噺に持っていかず、真剣にどうなるのかが書かれているのだ。現代パートも、歴史学者と宇宙物理学者という全く分野の違う2人がそれぞれ鍵を握っていて、1つずつ事実が明らかになっていく様にはドキドキした。



・シオドア・スタージョン『輝く断片』

……スタージョンはそのキャリアの中で、いくたびも変貌をとげた作家である。肩書こそ終生のSF作家であったものの、ジャンルにはおさまりきらぬ資質を持ち、その矛盾を解決できないままに、矛盾じたいが魅力となるような小説を書き続けた。
――伊藤典夫「スタージョン雑感」(SFマガジン1985年11月号)から抜粋されたものを更に抜粋


短編の名手と謳われるT・スタージョンの作品の中から8作品を収録した短編集である。子の短編集ではSFネタを扱ったものは少ない。その代り、ミステリ色が強い作品、それも傑作ばかりである!どの話もしっかりとした構成とオチが秀逸。また、作品の登場人物の異常さがゾクッとするほど伝わってくる文章力が素晴らしかった。個別の作品に言及すると、「マエストロを殺せ」は確かに面白かったが、俺の音楽に対する勉強不足のせいでちょっと理解が追いつかなかった。でもこの”おいら”の一人称で語られる文章と荒々しい感じはとても好き。一番好きだったのは「ニュースの時間です」かな。きっちりかっちり生きていた男が妻の身勝手なショック療法に耐えきれず家を飛び出し、失語症・失読症になり山に引きこもり生活していたが精神科医が訪れ、男を騙すような形で投薬をし、無理矢理病気を治した末の結果が凄かった。緻密な描写はどの短編でも光っていたがこれは特に好きだった。



・チャールズ・ストロス『シンギュラリティ・スカイ』
 シンギュラリティを迎え、様々な星系へと植民をしていった人類。そんな中で辺境の惑星<ロヒャルツ・ワールド>を治めている新共和国は、先進的技術を民衆が使う事を禁じ貴族世襲制度を布く独裁国家だった。ある日、<ロヒャルツ・ワールド>のノーヴィ・ペトログラードに空から大量の電話が降ってくる。その電話は情報の探究者”フェスティバル”からのもので「わたしたちを楽しませてくれますか?」とロヒャルツ・ワールドの住民に迫り、未知の情報と引き換えに何でもプレゼントすると約束してくる。町中の人が自分の話と引き換えに、自分自身をも複製できるレプリケーターを要求したり、サイボーグ化したり、意識をアップロードして情報生命になったりと、社会に大変革が訪れ、<ロヒャルツ・ワールド>は崩壊寸前に陥る。そういった報告を受けた<ロヒャルツ・ワールド>提督は”フェスティバル”を力で持って排除しようとするが・・・、といったお話。後書きにも書かれているが、量子論に哲学、コンピュータ関連、軍事にと、とにかく情報がこれでもかと書かれているが、全く気にならず、「なるほどそういうものなのか」とあたまから飲み込むことが出来るように分かりやすく書かれている。物語を貫く構造は美男美女のペアが様々な困難を力をあわせて乗り越えていくという王道展開なのだが、それを彩る情報が豊かで、最後まで楽しく読むことが出来た。ポストヒューマン、スペースオペラ、異星人とのコンタクト。1つのサブジャンルに決めるのは難しいこの作品、アレステア・レナルズが好きなら是非どうぞ!



・田中ロミオ『人類は衰退しました(6)』
 いま一番、俺が好きなライトノベルシリーズかもしれないこの作品。今回も、見た目は可愛らしいけど、なんかちょっとずれてたり、黒い所がある妖精さんがてんやわんやの大騒ぎで、主に"私"を巻き込んでいく。文章のテンポと様々な所に仕掛けられたネタやオタク知識は読んでいて毎度ニヤリとさせられる。アニメ化という事だが、自分の中では"私"の声は池澤春菜さんかなぁ。なんかツイッターでの喋り口調と重なる所があるんだよね(笑)いやでもホントに好きな作品だし、アニメに向いていると思うので純粋に楽しみである。この際に未読の人は読んでみてはいかがだろうか?



というわけで、最近読んだ本の感想でした。3月は本いっぱい読みたいね。それでは次の日記で...!
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